相続対策のための保険は活用とは?メリットや受取時の注意点を解説。 2022-09-10 22:32:51
目次
生命保険と相続の基本
生命保険とは、自分の死亡や病気、ケガの備えをすることで、自分や家族の生活を守るためのものと言えます。
大勢の人が生命保険会社へ保険料を支払い、公平に保険料を負担しあうことで、万が一のときに保険金や給付金を受け取ることができます。
生命保険が相続税対策に使われる理由として大きく二つあります。一つ目は、相続財産の金額を算出する際に非課税枠を使える点、二つ目は保険金の受取人を指定できる点になります。
生命保険の代表的な商品として、「終身保険」と「定期保険」などがあります。
終身保険は、被保険者が亡くなるまで一生涯保障が続く保険で、相続税対策として最も活用しやすい保険と言えます。
定期保険は、保険契約時に決めた一定期間だけ死亡保障のある保険で、掛け捨ての保険のため、保険料が比較的安価なことが多いという特徴があります。
商品によっては、定期保険と終身保険を組み合わせた「定期付き終身保険」や、さまざまな特約を付けることにより死亡以外のリスクにも対応できる死亡保険もあります。
生命保険の非課税枠
生命保険の非課税枠は、法定相続人1人当たり500万円までとなります。
500万円 × 法定相続人の数 = 生命保険の非課税限度額
例えば、配偶者と子ども2人の計3人が法定相続人である場合,「500万円×3=1,500万円」
までなら非課税限度額の範囲内となります。この非課税限度額を超えた部分が相続財産に加えられて、相続税が課税されます。
なお、相続人以外の人が保険金を取得した場合は、非課税の適用はありません。
したがって、相続税を気にせずに配偶者や子どもに多少なりとも財産を残そうと思うのであれば、まずは保険金の非課税枠の利用を検討しましょう。
相続に生命保険を活用するメリット
相続に生命保険を活用すると以下のようなメリットがあります。
受取人を指定できる
生命保険は「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の三者の関係で成り立っているので、死亡保険金はあらかじめ指定した「保険金受取人」に必ず支払われますので、のこしたい人に確実にのこせます。
この保険金受取人を指定することである意味『遺言』の代わりとして使うことができるので、事前に指定された受取人は、ほかの相続人との話し合いなしに保険金を受け取れます。
ほかの相続人から遺留分の請求をされる心配もないので、トラブルを避けて財産を受け取ることができます。
相続放棄をしても保険金を受け取れる
相続財産には債務などマイナスの財産も含まれるため、被相続人の死後に相続放棄を選択する人もいます。
しかし、生命保険金は受取人固有の財産となるため、たとえ相続放棄をしても保険金を受け取ることは可能です。
ただし、相続放棄をした人は法定相続人ではないため、生命保険の非課税枠を使えないということを覚えておきましょう。
相続放棄をするには、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。
単に「放棄する」と公言するだけでは相続放棄にはならないため、注意が必要です。
納税資金の確保に役立つ
相続税は相続が始まってから10か月以内に現金で一括納付しなければなりません。
その際に、相続財産の多くを不動産が占めている場合などは、納税資金をすぐに確保できないことがあります。
また、通常は死亡届を出すとともに銀行口座等は凍結され、遺産分割協議が終わるまで預金を引き出せなくなります。
遺産分割協議が長引くと、預金があるのに引き出せない状態にもなりかねません。
生命保険では、通常、死亡を届け出れば数日から1週間程度で保険金が支払われるため、納税資金や葬式代、そのほかの資金などに充てることも可能となります。
生前贈与にも活用できる
生命保険は、親から子に財産を贈与する手段としても活用できます。
生きているうちに相続財産を相続人に贈与する生前贈与の場合、相続人ひとりにつき贈与する金額を毎年110万円以下に抑えれば、贈与税がかかりません。
具体的には、生命保険に加入する際に子を契約者と受取人、親を被保険者として保険に加入し、親が贈与した財産を全額保険料の支払いに充てることで、親の死後に子が死亡保険金を受け取れます。
またこの場合、将来子が受け取る死亡保険金は、相続財産ではなく、保険料を支払っている契約者が子であるため、子の一時所得となります。
(保険金-払込済の保険料-50万円)×2分の1の金額に所得税がかかることになり、税額は少なく済みます。
110万円という金額は、あくまで贈与税がかからずに移転できる金額の上限なので覚えておきましょう。
代償分割に活用できる
生命保険金は代償分割の原資として活用することもできます。
代償分割とは、相続人のうち一人または数人が遺産を取得し、ほかの相続人に代償金を支払うことで、相続のバランスをとる方法のことです。
土地や建物など分割が難しい資産がある場合などに利用されます。
例えば、法定相続人が長男と次男の2人で相続財産が事業用不動産だけというケースを考えてみましょう。
事業用不動産は長男が相続した場合、次男の手元には何も残りません。
そのようなときに、長男は次男に対して、不動産の評価額の半分の代償金を支払うことも有用です。
このようなケースが代償分割にあたり、不動産を相続する人が代償金を持っていないと代償分割を行うことができません。
そこで、長男が保険金を受け取れるようにしておくことで代償分割をスムーズに行うことができます。
生命保険で相続対策をするときのポイント
生命保険に加入することは、お金を残したい人が生きているうちにできる相続対策のひとつになります。
亡くなることを前提として話をすすめなければならないので、どうしてもマイナスイメージがつきまといやすいですが、せっかくの仕組みを使わないのはもったいないことです。
保険に加入をするときには、契約者・被保険者・保険金の受取人のそれぞれをだれにするかで、保険金を受け取ったときの税金の種類が違い、税金の額も大きく変わってきます。
加入する際は、生命保険に加入をする目的を伝えて、保険金を受け取るときの税金がどうなるかまで、しっかり確認したうえで保険を検討しましょう。
まとめ
生命保険の死亡保険金は、相続税の非課税枠があることや、受取人の固有財産になって相続財産にはならないことなど、さまざまなメリットがあります。
これらの特徴を活用することで、相続税や遺産相続の対策に役立てることが可能になります。
ただし、上記でも説明したように契約者、被保険者、受取人の関係によっては、保険金に課税される税金が変わるため、保険に加入する際は注意が必要です。
相続税対策は早く行うほど高い効果を発揮するものが多いため、なるべく早いうちから始めましょう。
今回は生命保険での相続対策についてですが、ひとつの方法ではなく様々な方法を実施し、リスクを分散することで多くの財産を家族に残しましょう。
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